X線CTの超鮮鋭化による医療診断の新展開
【研究キーワード】
X線CT / MPPC / シンチレータ / フォトンカウンティング / デュアルエナジーCT / in vivo イメージング / X戦CT / 光子計数 / 造影剤 / 抗がん剤 / フォトンカウンティングCT / 大規模集積回路 / 光子計測
【研究成果の概要】
本年度では、主にファントムを用いて、我々が独自に開発したMPPCをベースとしたフォトンカウンティングCTシステムおよび、臨床で用いられているデュアルエナジーCTシステムで得られたCTイメージの定量評価を、前年度に引き続き実施した。そしてプラチナやヨードなどの混合造影剤に対し物質同定に加え、個々の濃度まで正確に推定することに成功した。さらに、これまではフィルター補正逆投影法を用いた画像再構成であったが、本年度では新たに逐次近似法を導入したCT画像の再構成を実施した。その結果、CT値の誤差をおよそ40%低減させることに成功した。これにより、独自に開発したフォトンカウンティングCT装置が従来型の臨床CT装置に対して、同等もしくはそれを凌駕するノイズ性能をもつことがわかった。これは将来のドラッグデリバリーシステムの治療効果の可視化を目指す上で極めて有用であり、造影剤や薬剤の分布を低濃度の領域まで把握できると期待される。
さらに本年度の大きな前進として、小動物(マウス)を用いた「初の in vivo イメージング」が挙げられる。ヨードやガドリニウムをマウスに静脈投与し、フォトンカウンティングCTの大きな利点であるK吸収端エネルギー前後でのCT画像を取得した。そして、異なるエネルギーのCT画像の間で差分をとることで、マウス体内でのヨードやガドリニウムの分布を映し出すことに成功した。さらに、投与した造影剤の3次元での濃度分布の推定にも成功し、推定によって得られた造影剤の総量は実際の投与量と無矛盾であることがわかった。さらに金ナノ粒子などのイメージングを現在行っており、次年度ではこれらの結果についてとりまとめ、報告を行う予定である。また本年度の成果について学生2名が学会発表を実施し、優秀講演賞を受賞した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小林 聡 | 金沢大学 | 保健学系 | 教授 | (Kakenデータベース) |
片岡 淳 | 早稲田大学 | 理工学術院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)