データ流通市場のダイナミクスの解明と制度設計
【研究キーワード】
データ流通市場 / データ交換 / 市場ダイナミクス / 制度設計 / マルチエージェントシミュレーション / データエコシステム / IDアーキテクチャ / データ流通エコシステム
【研究成果の概要】
本研究の目的は、データ流通市場の健全な発展を目指し、マーケットにおける異種のデータ・法規制・ヒトの動的な相互作用の解明とそれに基づくデータ流通の制度設計である。
2年目となる本年度は、昨年度整理したデータ流通市場の構成要素とその関係性を検討し、市場シミュレータ開発のためのモデル構築に取り組んだ。また、IEEE International Conference on Big Data 2021にて国際ワークショップCross-disciplinary Data Exchange and Collaborationを企画・運営し、国際的なコミュニティ作りにも注力した。
はじめに、(1)行政情報システム研究所で公開しているメタデータサイト及び、(2)データ分析コンペティションサービスKaggleの2つのデータ交換プラットフォームを分析した。(1)では組み合わせによって価値を持つデータのモデル化の手掛かりを得た。(2)では、COVID-19関連データを対象とし、データ公開初期のユーザ行動がコミュニティ形成とデータ利活用を促進することが分かった。
続いて、Kaggleデータセットを昨年度開発したデータ類似性計算手法に適用した。その結果、プラットフォームに依らない構造的特徴の一部が明らかとなった。
これらの解析から得られたデータとユーザの特徴から複数のモデルを作成し、データ生成器とデータ市場シミュレータを試作した。これにより、観測可能な相互作用が限定されるデータ流通市場の理解に向けた次年度の進展が期待できる。
また、近年注目されるIDアーキテクチャの分散化がデータ流通にもたらす影響と効率性を評価するために、分散型と集中型IDアーキテクチャを分析した。今後は、データ流通のインセンティブや導入コストの観点から、マルチエージェントシミュレーションに向けたパラメータを整理と検証を進めていく。
【研究代表者】