公共事業コントロール法の立案
【研究分野】公法学
【研究キーワード】
公共事業 / 環境影響評価 / 代替案 / 公共工事契約 / 技術評価 / 出来高部分払い / 紛争解決 / 地方分権 / 出来高払い / 災害 / 地方自治 / 公益訴訟 / 政策評価 / PFI / 認知地図
【研究成果の概要】
我が国の公共事業が抱える問題点を解決し、よりよい公共事業を推進していくための法制度である「公共事業コントロール法」の対象・内容・構成について詳細に検討した。
まず、公共事業コントロール法の対象については、狭く限定するべきではなく、a)その事業が公共性を有することを理由に純粋に私的な事業とは異なった扱いをされる事業であって、b)国土の物理的改変を伴う事業として広くとらえる必要があることが明らかになった。
公共事業コントロール法は、公共事業のあるべき姿を示す基本理念について定めるべきであり、1)過大な公共事業による財政の圧迫の回避、2)公益に合致しない不要な公共事業の排除、3)公共事業による環境の破壊の回避、4)公共事業の施行過程の効率化、5)国と地方公共団体との役割分担、の以上五点に整理することが適当である。
公共事業コントロール法においては、以上の点を公共事業に係る基本理念として掲げ、この基本理念を実現する上で必要な関係者の責務について明らかにすることが必要となる。さらに、これらの理念を実現する上で必要な施策について列挙するとともに、それらの施策が総合的かつ効率的に進められることを確保するための計画と第三者機関との必要性も明らかとなった。以上の各項目は、いわゆる「基本法」において定められる内容と重なっているため、公共事業コントロール法の立案という課題は、まずは「公共事業基本法」の制定を意味することも明らかとなった。さらに、「公共事業基本法」において列挙されるべき施策について明らかにし、そのいくつかについては具体的な施策内容をも提言した。具体的には、財政赤字の削減・公共事業手続の通則的規定の新設、公共事業による環境の非悪化政策(いわゆるNo net loss)の宣言・政策アセスメントの徹底・公共事業マネジメント法の制定などである。
【研究代表者】