サービス提供者を加味した待ち行列ゲームによる混雑緩和策の評価:理論・実験分析
【研究分野】社会システム工学・安全システム
【研究キーワード】
待ち行列 / ゲーム理論 / シミュレーション / 実験室実験 / 限定合理性 / 社会システム / 待ち行列理論
【研究成果の概要】
長引く新型コロナウィルス感染症の影響により、引き続き研究計画を調整して実施した。
実験研究については、対面による実験室実験の再開は困難なため、令和元年度に実施した実験室実験の追実験については再度延期した。一方、実際の店舗等の混雑を観察して理論の検証をおこなうフィールド実験については、社会状況を見て実施する予定で実験機器を準備した。しかしながら、、新型コロナウィルスの影響により計測に適した環境が得られないため、実験の実施自体は見送った。
理論研究に関しては、以下2点の研究を実施した。ひとつ目は、時間帯予約システムの検討のため、客の到着方式を定数とした理論モデルとその均衡導出アルゴリズムの構築を試みる研究である。ふたつ目としては、待ち行列ゲームにおいては従来、対称ナッシュ均衡をもとめることで混雑状態の評価をしているが、それに対して、客の限定合理性を加味した均衡の導出をおこなった。この限定合理性を導入した均衡による分析は、実験研究が滞っていることに鑑みて当初の研究計画を変更して新たに導入した要素である。
いずれの理論研究でも、客の到着がポアソン分布にしたがう従来の待ち行列ゲームのナッシュ均衡よりも、より令和元年度に実施した実験結果に近い到着時刻分布が得られた。このことは、到着客数への複雑な予想ができない、あるいは客の行動様式そのものが完全合理的でないといった、ある種の限定合理性をモデルに取り入れることで、現実社会で起こりうる帰結に近い予測ができることを示唆している。この検証のため、結果の一般化や、追実験やシミュレーションによる検証を進める予定である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2017-04-01 - 2023-03-31
【配分額】2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)