回転双極子磁場源・音源を用いた瓦礫埋没者探索
【研究キーワード】
逆問題 / レスキュー / 瓦礫埋没者 / 双極子磁場源 / 双極子音源 / 回転音源 / 防災 / 双極子
【研究成果の概要】
本研究の目的は,スマートフォンを用いた瓦礫埋没者探索法を開発することである.令和2年度は,探索者が回転双極子磁場源により空間中に磁場を生成し,モバイル端末側の位置を推定する手法を開発した.令和3年度は,音を用いた二種類の探索手法を開発した.
第一の手法は,双極子音場を用いる手法である.二つのスピーカーを逆相で駆動する双極子音源を直交して配置し,異なる周波数で駆動しておく.その上で,埋没者がもつスマートフォンのマイクロフォンでその音圧を観測し,スピーカーから見た埋没者の方位角および仰角を推定する手法を導出した.4台のスピーカーから双極子音源対を生成し,数kHzの音を発信することで,方位角,仰角が推定可能であることを実験的に示した.
第二の手法は,回転音源対を用いる手法である.単一周波数の音を発信するスピーカーを回転させると,観測端末では仰角・方位角に応じたドップラーシフトが観測される.そこで,異なる周波数で発振するスピーカーを2台用意し,これを逆向きに回転させることで,距離や初期位相によらずに仰角や方位角が推定可能な手法を導出した.数kHzの音を発信する2台のスピーカーをモーターで4Hz程度で逆向きに回転させ,端末の方位角,仰角が推定可能であることを実験的に示した.
昨年度に開発した回転双極子磁場源を用いる手法は,端末が金属で遮蔽されていても透過して定位できる利点があるが,探索範囲が近距離に限定される.これは磁場源からの距離の三乗に反比例して磁場が減衰することによる.これに対し,双極子音源の場合は距離の二乗に反比例して,回転音源の場合は距離の一乗に反比例して音圧分布が減衰することから,今年度開発した音を用いた手法は,遠距離の探索にも適しているという利点がある.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長谷川 圭介 | 東京大学 | 大学院情報理工学系研究科 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)