安全・安心な社会構築を目指す産業災害リスクマネジメント科学の創出と展開
【研究分野】社会システム工学・安全システム
【研究キーワード】
リスクマネジメント科学 / 安心・安全 / 産業災害 / リスクコミュニケーション / 文理融合
【研究成果の概要】
近年の大きな産業構造変化、設備の老朽化などのため、多様で大規模な産業災害が多発するようになってきた。最近のJR脱線事故や原子力発電所事故、自動車リコール隠しなど,これらの災害の従来にみられなかった特徴は、経営・管理の組織と人の機能不全が、災害を誘起し、かつ拡大したことにある。これはまさに、企業経営におけるリスクマネジメントの欠如にほかならない。産業災害のリスクマネジメントは、製品(もの)のリスクベースメンテナンス(RBM)という工学的視点のみでは不十分で、企業経営そのもののなかに位置付ける必要がある。一方、災害の結果として社会には、安全技術のみならず産業そのものへの不信感が芽生えており、この不信感を払拭するため、社会と産業の間に社会科学的視点に立脚したリスクコミュニケーションの実行が有用である。このように安全・安心な社会構築のために、経営学、工学および社会科学を融合したリスクマネジメント体系の構築が必要である。これを「産業災害リスクマネジメント科学」と名付け、その創出と展開を目的とした企画調査を行い、科学研究費補助金(特定領域研究)の新規発足研究領域の応募のための準備を行った上で,「安心・安全社会の構築を目指す産業災害リスクマネジメント科学の創出と展開」と題した研究申請を行った。さらに,本年度の成果として,平成19年3月に,本研究の調査研究成果シンポジウムを開催し,「特定領域研究」の準備状況,研究進捗状況ならびに研究体制等について意見交換を行った。
【研究代表者】