イノベーションの発生に影響する組織の「形」と「広さ」についての研究
【研究キーワード】
イノベーション / 組織構造 / 組織設計 / サプライヤーシステム / カイゼン / シェアリングエコノミー / 災害復旧 / 改善活動 / 両利きの経営 / 組織デザイン / 経営組織論 / ダイナミック・ケイパビリティ
【研究成果の概要】
当該年度において、イノベーションの発生に対する組織の「形」と「広さ」の影響についての研究成果を学術論文や一般記事、書籍等の多様な媒体に幅広く公開することができた。具体的には、イノベーション「そのもの」の動きをコンピュータ・シミュレーション等を用いて把握し、イノベーションに必要な資源とアイデアの流れを管理するという「イノベーションそれ自体のマネジメント」への足掛かりを築いた。ここでいう「イノベーションそれ自体のマネジメント」はイノベーションとイノベーションの種(アイデアと資源)とが社会における人のつながり(ネットワーク)を通して伝播していく様子をモデル化したものであり、これによって、イノベーション創出のためにどのような人材をどのようなネットワークで繋げばよいのかという新たな知見を得ることができるという意義があった。これは、イノベーション創出に有効な社会・組織・制度を考える基礎となりえ、イノベーション創出の必要性が叫ばれる昨今にあって重要性が増している研究内容であると考える。今回の研究活動で得られた知見の一部として、資源とアイデア(情報)の渋滞の解消という視点から、梁山泊型、高信頼フィクサー型、リーンスタートアップ型、起業サークル型、科学者集団型、ムラ社会型などの制度の有効性をコンピュータ・シミュレーションによって検証し、これらの社会ネットワークにはそれぞれ異なった特徴があることが判明した。こうした特徴の中には、小さなイノベーション(悪貨)が大きなイノベーション(良貨)を駆逐する「イノベーションのグレシャムの法則」、世間知らずが大きなイノベーションに寄与する「井の中の蛙の効用」などがあった。さらに、実証研究と仮想実験の混合研究によって、イノベーション同士の連鎖という現象も発見され、イノベーションの連鎖を育てるためのマネジメント手法としての組織設計という新たな観点が得られた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)