金融・契約技術とガバナンス・マネジメントに関するシステム科学的研究
【研究分野】社会システム工学・安全システム
【研究キーワード】
金融技術 / リアルオプション / 投資戦略 / リスクと価値 / インセンティブ契約 / ガバナンス / 価値創造 / 契約技術 / リスク / 契約の経済学 / 経営戦略 / エージェンシー / 最適投資の理論 / モラル・ハザード / リスク分析 / ゲームの理論 / 契約の技術 / ゲームとエージェンシー / 投資戦略と価値 / 企業間提携 / 事業プロジェクトの価値
【研究成果の概要】
本研究課題は、「わが国の産業社会の再生にむけて、今後取り組むべき重要な課題はなにか」という意識にたって、調査・研究を行い、研究成果として、次の事項を明らかにした。
●わが国の戦後35年にわたる奇跡といわれた高度成長を支え、駆動した経営パラダイムが、1990年代に入り、その勢いを失速し、バブル崩壊を経験した経過を分析し、今後のイノベーションの源泉となるモデルと原理を明らかにした。
●新しい時代へむけての組織と産業の活性化には、すべてのステークホルダーの諸関係の再構築と、新しいガバナンスの確立への戦略形成が重要であることを示した。
●市場経済の躍進の原動力となった金融発明「株式とエクイティ資本」が内包する強いインセンティブと、それが駆動する投資戦略と意思決定が今後のイノベーション戦略の柱となることを示した。
●電力産業など、長い間、政府・官僚の主導のもとに管理・規制され、停滞した産業には、市場の原理、競争の原理の導入が急務であることを示した。
●金融技術と関連の領域、ゲーム理論、契約理論、産業組織論などに、有用な知識・知見を探検し、研究開発やM&A等に係わる競争戦略、産業政策、制度設計などには、リアルオプションのモデルと枠組みが、リスクに挑戦しての価値創造の原動力となることを特定した。
●以上の問題意識および仮説をもとに、公開研究会シリーズ「金融技術と経営」を開催し、これら研究会での討論をもとに、論文集としての図書を2冊、刊行した。
本公開研究会に参加した研究者・実務家が中心になって、2006年7月に、「日本リアルオプション学会」を設立するに至った。
【研究代表者】