産業現場におけるレジリエントな安全行動を促進するゲームの開発と効果の検証
【研究キーワード】
レジリエンス / 制御焦点理論 / オンライン実験 / ゲーミング / グループワーク / 安全教育 / 安全マネジメント / 安全 / 教育研修
【研究成果の概要】
制御焦点とレジリエントな行動の関係について,ネガティブな結果の回避を目指す「防止焦点」と,ポジティブな結果の実現を目指す「促進焦点」が課題解決に及ぼす影響を比較するオンライン実験を開発し,実施した。作成した課題は,ルーチンスの水瓶問題と類似のものであり,同じ解答が続く複数のパズル問題を解答させた後のターゲット問題の解答時間や正答率を,防止焦点条件と促進焦点条件の参加者間で比較するものであった。防止焦点条件の参加者には速く間違いが少なく解くことを,促進焦点条件の参加者にはよりよい解答を探索しながら解くことを求めた。
その結果,前例や決められた手順に従うだけでは解決困難な状況においては,促進焦点の方が防止焦点よりも正答率が高く,回答時間が短いことが明らかになった。この結果は,マニュアルを教えて手順通りに行うことを教育するだけよりも,現場第一線が日頃から自律的に考えて作業することが,さまざまな変動や外乱にレジリエントに対処するポテンシャルを高めるのに役立つことを示唆するものである。
さらに,産業界・医療界等で実施可能な安全研修ゲームの開発に向けては,Covid-19の感染状況に鑑み,鉄道会社ではオンライン,建設会社ではハイブリッドで研修を行った。また,化学工業会社の製造工場では,作業手順の揺らぎに着目させるグループワークを実施した。
これらの活動を通して,本研究課題で開発するゲームの要件や実施上のノウハウが蓄積された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
重森 雅嘉 | 静岡英和学院大学短期大学部 | その他部局等 | 教授 | (Kakenデータベース) |
吉川 肇子 | 慶應義塾大学 | 商学部(三田) | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)