ゲーム理論的資源配分メカニズムの定量的評価基盤の構築
【研究分野】知能情報学
【研究キーワード】
メカニズム設計 / ゲーム理論 / 最適化 / 計量経済学 / アルゴリズム
【研究成果の概要】
本研究はゲーム理論的資源配分メカニズムを,最適化や学習といったアルゴリズム技法を駆使して,定量的に分析する理論的基盤を構築することを目的とする.とくにデータ分析に資する動学ゲームを開発し,多市場接触における非自明な協力的均衡戦略の特徴づけに成功した.この成果は人工知能分野のトップ会議AAAI2020に採択された (採択率20.6%=1591/7737).さらに派生研究として,安定結婚問題の一拡張である予算制約付きマッチングに近似アルゴリズムを利用した成果がIJCAI2017 (採択率25%=137/550) および AAAI2018 (採択率25%=933/over 3800) に採択された.
【研究の社会的意義】
本研究で主たる対象とした,多市場接触は経済学における理論と実証の双方において重要な応用例の1つである.本研究ではとくに「多市場接触は談合を促進するか?」という問いに対して,世界で初めて非自明な協力戦略を特定し,その特徴付けを与えることに成功した.この成果は,多市場接触の実証に有用な企業の振る舞いのモデルとなることが期待される.一方で,予算制約付き近似安定マッチングでは,現実的な要請にもとづく制約の下で,人や資源をどのように組み合わせるのが望ましいかの規範を与えることに成功しており,例えば,児童と保育園のマッチングの現実と理想を比較する上で重要な成果といえる.
【研究代表者】