人工知能と数値解析の融合:ニューラルネットワークに基づくマルチスケール解析
【研究分野】計算科学
【研究キーワード】
ディープラーニング / 数値解析 / 機械学習 / マルチスケール / 数値シミュレーション / マルチスケール解析 / 熱伝導問題解析 / 不均質材料 / 深層学習 / 人工知能 / シミュレーション工学
【研究成果の概要】
本研究目的は,人工ニューラルネットワーク(ANN)とマルチスケール解析手法を融合した全く新しい数値シミュレーション法を開発することである.本手法が確立されれば,従来手法と同様の高精度解をより低コストに算出することが期待できる上,適用に制約がなく原理上あらゆる物理現象の解析が可能となる.
平成29年度は,提案法に用いるANNとして,画像認識能力に優れている畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を導入し,提案法を2次元の線形定常熱伝導問題に適用した.平成29年度に実施した数値実験により,CNNを導入した提案法は,ANNを使用しない従来のSDMとほぼ同等の解を算出し,さらに解析時間を短縮できることが分かった.
平成30年度は,SDMに加えて,マルチスケール解析手法の1種である領域分割法(DDM)とCNNを融合したマルチスケール解析手法を提案し,平成29年度と同様に2次元の線形定常熱伝導問題に適用した.また,CNNの学習に「知識の蒸留」と呼ばれる手法を導入し,提案法の更なる解析精度向上および解析時間の短縮を図った.平成30年度に実施した数値実験により,新たに提案した手法は,CNNを使用しない従来のDDMとほぼ同等の解を算出し,更に解析時間を短縮できることが分かった.さらに,解析精度については,平成29年度に提案した手法を大きく上回った.
以上の成果により,提案手法がSDMだけではなくDDMにも適用可能であることを実証した.さらに,今年度提案した手法は,昨年度提案した手法を大きく上回る解析精度を実現した.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2017-04-01 - 2020-03-31
【配分額】3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)