金融リスク管理のための新ITモデルの研究と開発
【研究分野】社会システム工学・安全システム
【研究キーワード】
情報システム / 最適化 / セキュアネットワーク / 経営学 / 確率論 / ファイナンス / 金融リスク / 信用リスク / IT / ネットワーク / セキュリティ / 信用情報共有基盤 / XBRL
【研究成果の概要】
本研究の目的は、金融リスク管理のための新しいITモデルの研究と開発である。
・金融リスク評価の精緻化
まず、信用リスクの定量分析のための中小企業の財務データベースを構築した。そのデータベースを利用して、新しいタイプの銀行ローンの適正貸出金利算出モデルを開発した。モデルの主要な特徴としては、財務データベースに基づく伝統的な統計的アプローチと確率解析によるクレジット・デリバティブの価格付け手法とを組み合わせたものであるということである。また、多目的遺伝アルゴリズムによる信用スコアリングモデルのチューニングに関する研究を行った。
・最適化技術の向上
不確実な状況下においてトラッキングエラーを最小化するモデルを構築した。また、その最適解を効率よく求める手法を開発した。リスクを回避するため、考えうる最悪の状況下での誤判別率を最小化する判別問題についての基礎研究を行った。適用できる確率微分方程式のクラスに制限がなく高次近似が可能な、楠岡近似の画期的なアルゴリズムの開発に成功した。さらに、この手法が数理ファイナンスの問題に非常に有効であることを実証した。
・IT環境の構築
電子商取引において重要なディジタル署名に関して、structured aggregatesignatureという署名法を構築するとともに、Rabin型署名の既存の安全性証明の誤りに対する訂正法を導出した。信用情報共有基盤技術としてのXBRLおよびサイバー金融システムの研究を行った。そして、日本における金融庁のEDINET、東京証券取引所のTDnetに代表されるXBRLの取り組みの支援をした。
以上の研究成果を合計19本の論文(査読付き)と1冊の図書で発表を行った。また、研究期間中にシンポジウムやワークショップを計6回開催することにより、積極的に情報収集を行うとともに、上記の研究成果を内外に周知した。
【研究代表者】