データ駆動健全性監視のための転移学習と説明能力に関する研究
【研究キーワード】
動的システム学習 / 健全性監視 / 異常検知 / 転移学習 / 教師なし学習 / システム同定 / 生成モデル / 機械学習 / 予防保全 / 人工知能
【研究成果の概要】
近年、IoTに代表される計測通信技術の普及と、深層学習を含む機械学習の発展が相まって、大規模かつ複雑な人工システムの健全性監視において、データ駆動型のアプローチ、すなわち、過去の膨大なデータからシステムの挙動モデルを統計的に学習して健全性の監視に利用するアプローチが大きな期待を集めている。本研究では、このデータ駆動型健全性監視が抱える2つの問題に焦点を当てている。第一の問題は、現実の人工システムにおいては事前に十分な量と質を兼ねた訓練データを入手することが容易でなく、特に、異常や不具合に関するデータはほとんど存在しないという点である。第二の問題点は、膨大なデータに対して機械学習を適用することによって得られた帰納的モデルが必ずしも専門家が持つドメイン知識と整合しないため、実世界での利用に耐えるだけの説明性を有さないことである。これら2つの問題を解決するため、本研究では、データ駆動健全性監視のための転移学習法を開発すること、および、工学者・専門家にとって解釈性の高い潜在変数-状態空間モデルと最新の機械学習手法との融合を図ることでデータ駆動健全性監視の説明性を実現することを目的とする。
本課題3年度目である2021年度は、前年度から引き続き状態空間モデルと生成的な
深層学習モデルを融合することにより、自然法則やシステム固有のダイナミクスに関する事前知識をモデルに埋め込みつつ、高次元時系列データ入力からシステムの内部状態遷移を推定・監視する技術の開発に取り組んだ。また、変分自己符号器の訓練に自己教師あり学習を用い、地球周回の人工衛星に本来備わる周期性を事前知識として利用することによって、潜在変数空間の各次元が解釈可能になることを示した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)