ポストトゥルースの時代における新しい情報リテラシーの学際的探求
【研究キーワード】
コミュニケーション / フェイクニュース / ソーシャルメディア / ICT / データ倫理 / 情報教育 / 社会的分断 / 感染症 / 情報倫理 / AI倫理学 / データ倫理学 / ソーシャル・メディア / 情報リテラシー / クリティカルシンキング
【研究成果の概要】
本研究ではフェイクニュースなどが広がる原因についての実証的な研究、それに対抗するための制度や倫理などの規範的研究、および人々がよりよく情報の生産と利用ができるようになるための教育活動を行っている。本年度はソーシャル・メディアなどによってフェイクニュースが拡散される実態、メカニズムについて計算社会科学、メディア論的観点から実証的研究および分析を行った。計算社会学の研究では、社会的影響とつながりの切断がソーシャルネットワークにおけるグループの分断と意見の均一化をどのようにして引き起こすかを明らかにした。規範的研究においてはコミュニケーションの価値についての哲学的・人類学的探究を行い、コミュニケーションの多様なあり方とコミュニケーション技術発展の歴史から、現在の「ポストトゥルース」的状況を理解するための枠組みを考察し、またそれを乗り越えるための方法論について考察した。特にソーシャル・メディアのコミュニケーション技術としての特徴を他の技術と比較するための枠組みを考案し、比較を行った。また人間や他の動物のコミュニケーションの違いと共通点、コミュニケーションの起源などからコミュニケーションが本来持つ機能や目的を明らかにしたうえで、現在のコミュニケーション技術の評価を行った。また本年度は新型コロナという特殊な状況の中でフェイクニュースの問題がより深刻化したこともあり、新型コロナの状況におけるソーシャルメディアをめぐる法的・倫理的問題について調査と考察を行った。教育的活動としては市民講座などでの講演、公開シンポジウムなどの開催、新聞や一般紙への寄稿、放送用教材の提供などをおこなった。
【研究代表者】