映画『ヒロシマ・モナムール』をめぐる日仏の受容状況の包括的研究
【研究キーワード】
記憶の抑圧 / 対独協力 / 敗戦とトラウマ / ヒロシマ / ユダヤ人 / 記憶の統治 / 戦争の記憶 / 映画と記憶 / デュラス / レネ / 記憶 / 映画 / ポドロ / 受容 / 岡田英次
【研究成果の概要】
本研究の目的は、映画『ヒロシマ・モナムール』(1959年)が公開当時に引き起こした現象の全体像を把握することである。具体的には、①映画体験の再構成、②1959年当時の日本とフランスにおける文脈の再構成、③1959年の日本とフランスの受容の再構成である。そして、この目的を果たすための方法として計画されたのが、 (a)デュラス側の『ヒロシマ・モナムール』の構想と脚本の生成に関する草稿類からの調査、(b)アラン・レネ側の『ヒロシマ・モナムール』関係資料の調査、(c)『ヒロシマ・モナムール』公開時の日本の反応に関する調査(雑誌・新聞)、(d)『ヒロシマ・モナムール』公開時のフランスの反応に関する調査(雑誌・新聞)であった。
初年度の2019年度には (b)、(c)、(d)に関わる研究を行った。また、2020年度は、新型コロナウィルスの世界的蔓延のため、当初の研究計画を変更し、収集済みの国内外の資料の整理・分析作業を行い、作品が上映された時代の日仏の文化的環境の理解を深めることに努めた。
そして、2021年度もまた、遺憾ではあるが、新型コロナウィルスの猛威のため、フランスでの調査については断念をせざるをえなかった。しかしながら、文献と映像資料(例えばマルセル・オフュルスのドキュメンタリー映画『悲しみと哀れみ』等等)の調査から、ナチス・ドイツ占領期の対独協力を語ることが戦後フランスにおいてタブーのようになっていた現状について理解を深めることができた。また、敗戦国における国民感情のダブルバインドとも言える状況について、小津安二郎監督『晩春』(1949年)をもとに考察することができた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)