関係価値と和解のミクロ・マクロ・ダイナミックスに関する研究
【研究キーワード】
関係価値 / 和解 / 国際関係 / 計算論モデル / マイクロ=マクロ / コミットメント・シグナル / ミクロ=マクロ・ダイナミックス / ネットワーク分析
【研究成果の概要】
2021年度は、本研究課題のテーマである関係価値と和解に関する研究を進めるマテリアル作成も兼ねて、謝罪と赦しに関するシナリオ実験とコミットメント・シグナルに関するシナリオ実験をいずれもオンラインで行った。
謝罪と赦しに関するシナリオ実験では、シナリオ作成に加えて、関係価値が十分に高く将来の裏切りが考えにくい関係では、謝罪は最小限のもので済む可能性(逆に言えば、コストのかかる手の込んだ謝罪が必要とされるのは、関係価値が必ずしも高くなく、さらなる裏切りを相手が予期している場合だけである可能性)を検討した。その結果、予測は支持されず、どのような関係性であってもコストのかかる手の込んだ謝罪の方が誠意の知覚を高め、赦しを促すことが示された。この結果は、Letters on Evolutionary Behavioral Science誌に掲載決定している。
謝罪やコミットメント・シグナルを通じて関係価値を調整することを検討するシナリオ実験も実施した。ここでは、特に、コミットメント・シグナルに絶対的にコストがかかっているかどうか、かかっているならばそれがシグナル発信者自身にとってどれくらい大きなコストになっているかを操作した。しかし、この実験では、絶対的・相対的という2種類のコストの操作が完全にはうまくいかず、その結果、仮説は支持されず、シナリオ作成という意味でも課題を残すものとなった。今年度、改めてこの課題を克服するマテリアルを作成し、データ収集予定である。
また2021年度には、これまでの関係価値と和解に関する知見をレビューする形でまとめた書籍も出版した。
【研究代表者】