人流ネットワークに特化した数理解析基盤の整備とその応用
【研究キーワード】
人流 / ネットワーク分析 / コミュニティ抽出 / コミュニティ検出
【研究成果の概要】
本研究の目的は、人流の特殊性を考慮したネットワーク解析の基盤を整備してGPSなどの大規模人流データに適用するとともに、データに基づいて人流の数理モデルを提案し、外的な変化が人流ネットワークに与える影響の解析・予測を行うことである。
この目的を達成するために、2021年度は、(1)人流ネットワークが持つと考えられる特徴を定量化するための検討、(2)人流の生データを本研究のネットワーク解析に用いるための集計方法についての検討、(3)ホッジ=小平分解による人流ネットワークの分析、および、(4)本課題で分析する人流経時変化の対象の検討を行った。
(1)に関して、人流は強い周期性があり、それゆえにマルコフ性も満たされないことを改めて確認した。その特徴を捉えるために、(2)として、居住地ごとにOrigin-Destination行列を計算する方法が適切であることを大規模人流データを用いて確認した。実際に集計を行うと、個人情報保護のために秘匿が発生するが、秘匿率を抑えることのできる集計サイズの検討を行った。これらの結果により、本課題での人流ネットワーク構成手法を決定した。
(3)においては、パーソントリップデータを用いてホッジ=小平分解が人流ネットワークに対して適用できることを確認し、分解によって得られた特徴量が周辺地域と比べて特異的な値を持つ自治体を明らかにした。(4)に関しては、現在進行中の事象かつ世界的にも影響が大きい、COVID-19による人流変化を対象とすることに決定した。
人流ネットワークのホッジ=小平分解の結果は学会等で報告を行うとともに論文を執筆し投稿するとともにarXivにて公開した。特にCSIS DAYS2021においては優秀共同研究発表賞を受賞するなど、高い評価を受けた。
【研究代表者】