逆問題の数値的・確率的パラメータ推定法の研究
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
逆問題 / 変分問題 / パラメータ同定 / 最適化 / 統計的推定 / 非適切問題 / 非有界逆作用素 / 正則化
【研究成果の概要】
大西は研究全体を推進すると同時に、数値解析的立場から偏微分方程式の未知初期値ならびに未知境界値の同定逆問題の計算法を研究した。すなわち、逆解析を制御における変分双対問題に帰着させ、有限要素・境界要素法を応用した近似計算法を示した。
中村は関数方程式論の立場から、弾性体の逆問題についてlayer stripping法のアルゴリズムを確立した。
清水は確率論の立場からイントラクラス相関をもつ2変量正規分布の多標本問題を扱った。データにミッシングがある場合に、等相関係数の最尤推定量と条件付き最尤推定量が満たすべき方程式を導き、相関係数の区間推定と検定を行う方式を与えた。
矢部は制約条件付き最適化問題を解く逐次2次計画法に関し、拡張ラグランジュ関数のヘッセ行列を近似する構造化準ニュートン法の2次計画部分問題で扱われる行列の正定値性を保証するとともに、サイジングを利用して行列の固有値の制御を図った。また、非単調直線探索法を実行して、大域的収束および局所的超1次収束することを示した。
宮岡は数理統計学の立場から従属的性質を持つデータに関して、一般化線形モデルを推移モデルに拡張し、そのモデルのもとでのパラメータ推定の方法を構成した。また、シミュレーションによる推定量の性質の研究を行った。
斉藤は線形作用素に対し関数解析学の観点から逆解析について基礎的な研究を続け、既に斉藤によって得られた劣正規作用素の構造に関する定理を、Morrel-Clanceyの定理に適用し、その一般化を得た。これを研究集会「解析・調和関数空間の構造とその上の作用素論」(1995.12.4-12.7、推理解析研究所)で発表した。
【研究代表者】