無線機器を用いた「患者見守りシステム」の開発:患者の安全性確保と看護負担軽減
【研究キーワード】
患者見守り / 認知症 / 無線機器 / 高齢者 / 入院患者 / 位置情報 / 安全性 / 看護負担 / ZigBee
【研究成果の概要】
近年の我が国の高齢化に伴い65歳以上の高齢者人口は、3617万人、総人口に占める割合(高齢化率)は28.7%と過去最高となった。それに伴い病院の入院患者も高齢化し、原疾患に加え認知症を伴った患者が増加している。また、2019年度では日本全体で1万6775人の認知症高齢者が行方不明となっており、その中で460人は死亡した状態での発見だった。入院中の認知症患者は、病状が回復に向かうと看護師の見守りの目をかいくぐり、病棟を離れ院外に出る場合がある。看護師が早急に院内を探索することになるが、院内探索後も所在不明な場合は、広範囲な捜索を行うため患者の安全リスクは増加する。また、患者の位置が分からなくなるため、看護師が心当たりの場所を一つ一つ探しているのが現状であり、探索の看護負担は大きい。様々な状況下でも移動体の情報を遠隔で監視・通信する低コストの「患者見守りシステム」を構築し、患者の安全の早期確保及び看護負担の軽減が本研究の目的である。
2021年4月より、2020年に試作した腕時計型無線機器に新しい測定機能を加え、位置情報、動線と健康情報を収集できるように検討した。しかし、腕時計型無線機器を患者に装着させることが難しいとの課題が出た。そこで、より軽く実装性の高い無線機器の開発と見守りシステム全体について検討した。その結果、5種類の方法について検討することになった。まず、病院の床に金属を埋め込み、小さな無線機器で位置情報のみを感知する方法の検討を行った。病院の病棟に出向き、床の素材、病棟の電源の高さ、患者の動線などについて現場確認をした。その結果、病棟の床の素材では金属を埋め込むことが困難であること、適合する無線機器を作成することが難しいことを確認した。今後は、残り4種類の方法について検討し、実装可能な無線機器を作成し、患者探索実験を実施する予定である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
丸山 崇 | 産業医科大学 | 医学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
犬島 浩 | 早稲田大学 | 理工学術院(情報生産システム研究科・センター) | 教授 | (Kakenデータベース) |
立野 繁之 | 早稲田大学 | 理工学術院(情報生産システム研究科・センター) | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)