視覚障害者における形・空間の認知機能とその形成
【研究分野】実験系心理学
【研究キーワード】
視覚障害 / 低視力者 / 先天盲開眼者の視知覚 / 触知覚 / 低視力シミュレーション / 形と空間認知 / 主観的輪郭線 / 視覚 / 触覚探索 / 低視力 / 視覚的探索 / ぼけ関数 / 主観的輪郭 / 陰の知覚 / 立体視 / ATM / 触覚による絵単語 / 先天盲開眼者 / 全盲者 / 奥行き距離 / occlusion foil / 見やすさ / 触探索 / 触覚 / 空間定位 / 奥行知覚 / 情報伝達法
【研究成果の概要】
低視力班では、低視力をシミュレーションするのに、occlusi on foilを使用してきた。だが、光学的特性が明確ではないという欠点を補うため、occlusi on foil視力とガウス関数との関係を調べ、両者の間に指数関数が成立することを明らかにした。また、画像をガウス分布でぼかし、ぼけの程度を視力で表せた。また、画像を直接ぼかして形の正答率を求めると、視標の大きさやコントラストが増すほど、正答率は高くなるが、色差の効果はほとんどない。種々の眼疾を有する低視力者が文字列の視覚的探索を行うと、健常者に比べてコントラストの効果がより顕著に認められることを明らかにした。先天盲開眼者班では、3名の開眼者における主観的輪郭、陰影の立体効果について検討した。主観的輪郭に関しては、ごく一部の図形について知覚しうる段階にあるが、図形によっては反復提示により主観的輪郭が成立する可能性がある。事物の投じるshadowに関しては、当初事物の一部として見ていた「陰」を、事物から切り離して「shadow」として認知するまでになった。陰影の立体効果については、はじめ、3名ともそれを「shadowing」として認知せず、立体効果も現れなかった。だが、ToMのみがそれを多少「ふくらみを現すもの」として捉えた。全盲班では、窪みのある面を触探索させ、曲面をどの程度正確に知覚しているかを調べ、錯覚を生み出す最適な深さが存在することを確かめ、指先の曲率と曲面の曲率が似てくると、錯覚量が大きくなることを示した。また、バリアフリーという観点から、ATMに触覚情報を付加するため絵記号を開発した。また、これを搭載したATMを試作し、全盲者に使用評価をさせた。その結果、1回のタッチ毎の平均探索時間は10秒前後であり、障害者の評価は高かった。全盲者のために開発されたGUIを有効に利用できるようにするため、触覚グラフィックによってアイコン情報を取得させるため、合成音声を併用できるようにした。その結果、操作時間が短縮した。
【研究代表者】