VRを用いた環境的文脈の操作による記憶定着支援の研究
【研究キーワード】
バーチャルリアリティ / 環境的文脈 / 記憶 / 記憶支援
【研究成果の概要】
本研究の目的は,記憶に強い影響を与える環境的文脈としてのバーチャルリアリティ(VR)の効果を明らかにし,VRの特性を活用した効果的な記憶支援手法を実現することである.本研究では,特に環境的文脈としての現実とVRを分かつ要因の特定を中心に記憶に影響する環境的文脈としてのVR環境の特性を明らかにし,VRの特性を活用することで現実での学習以上に効果的な記憶が可能な記憶支援手法の実現を目指す.
本年度は,最も代表的な環境的文脈依存効果である復元効果(記銘時と同じ文脈で想起する条件の方が異なる文脈で想起する条件よりも想起成績が高い)について,実写360度映像の提示による文脈操作手法とVR空間で利用するアバタを変えることによる文脈操作手法の影響を検証した.その結果,有意な効果は認められなかった.他方,復元効果に次いで代表的な環境的文脈依存効果であるマルチ文脈効果(多様な環境的文脈下で記銘する条件の方が単一の環境的文脈下で記銘する条件よりも想起成績が高い)について,実写360度動画の提示による文脈操作手法の影響を検証したところ,有意な効果が確認された.これにより,過去の研究では確認されていなかったVR体験における記憶の環境的文脈依存性が存在することを報告した.また,高いプレゼンスを感じた参加者は,低いプレゼンスを感じた参加者に比べて復元効果の効果量が大きい傾向が見られ,プレゼンスとVR体験における記憶の環境的文脈依存性の関連を示唆した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
鳴海 拓志 | 東京大学 | 大学院情報理工学系研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)