行政改革の理論と実施に関する国際比較研究
【研究分野】財政学・金融論
【研究キーワード】
行政改革 / ガバナンス / 民営化 / 市場化 / ネットワーク / 企業的経営 / NPM / 業績測定 / アウトカム / アウトプット / コーポレート・ガバナンス / 協働 / 英国 / 政策評価 / 財政 / 会計 / エージェンシー / 独立行政法人 / 業績管理 / 非営利組織 / 地方分権 / バランスト・スコアカード / PBO
【研究成果の概要】
米国、英国、ニュージーランド、オーストラリア及び我が国の行政改革をガバナンスと経営に焦点をあて理論的・実証的研究を行った。その結果、得られた事項は以下のとおりである。
1.各国の行政改革は、小さな政府像に基く市場モデルから、企業経営的モデルの適用、そしてガバナンスやネットワークも配慮した混合型モデルに発展してきている。
2.具体的には(1)民営化、民間委託や内部市場による政府経営が導入され、次に(2)企業モデルやコーポレートガバナンスを強調する企業的経営が続き、(3)公的部門内の関係機関の協調や民間部門との協働あるいはNPOや市民参画にいたっている。
3.(1)では組織構造・会計を中心とする改革が中心になりコストが重視され、(2)では業績測定や業績給を含む業績管理の確立が図られ、技術効率の向上に焦点が当てられる、いわゆるNPM原理の追求である。そして、(3)では予算改革と政策の質的向上を図ることに力点が置かれ有効性と配分効率が焦点となる。
4.わが国は現在総体的には(2)の段階にあるが、(1)の基盤となる財務会計システムの改革が遅れており、いまなお現金主義ベースの会計システムを使用している他、成果志向を予算や業務執行に適用するのでなく評価段階に制度的に義務付ける等に留まりNPMの部分的適用となっている。このため、伝統的モデルとの折衷状態である点が成果を十分挙げていない原因の一つになっていると考えられる。
【研究代表者】