「探索器官としての手」の創発:能動的探索が生み出す情報の解明
【研究キーワード】
goal-directed system / agency / dexterity / 柔軟性 / 探索 / 環境 / reservoir computing / アフォーダンス / スキル / 発達 / 操作 / 身体性
【研究成果の概要】
自律的システムが,なんらかの好ましい環境との関係をロバストに形成するかたちで,融通無碍に多自由度からなる組織や運動協調パターンを変化させる性質は「柔軟性(flexibility)」と呼ばれ,その理解は,心理学や認知科学はもとより,ロボットや人工知能など複数の研究領域においてブレークスルーを要する極めて重要な研究課題となっている.本研究プロジェクトは,多様な環境に際して,知覚すべき対象や形成すべき環境との関係に応じて,課題特定的なかたちで「探索する手」の動作パターンが柔軟かつリアルタイムで創発する原理を根本的に解明することを目的とするものである.この目的に向けて,本プロジェクトでは,身体性認知科学,レザバー計算,ロボティクス,ハプティクス工学とそれぞれ異なる研究領域を専門とする研究者たちが有機的に連携し,学際的・国際的な共同研究を行う.初年度の6ヵ月のあいだには,コロナ禍の影響もあり海外共同研究機関に直接出向くことはかなわなかったが,プロジェクトに参加している国内外の研究者が毎月オンラインでディスカッションを行うミーティングを行い,具体的な連携の進め方の丁寧な熟議を重ねた.現在,遠隔での連携による下記のプロジェクトが進行中である.(1)事物・出来事を特定するエネルギ-配列が生じ得る情報メディウムの性質から,課題特定的探索動作組織の創発に必要な条件を同定する理論研究,(2)課題特定的な探索動作の動作解析(点字の触読,身体図式の知覚)による検討,(3)複雑な熟練技能における,状況の変化に応じた動作協調パターンのシミュレーションによる検討.2022年度には,研究代表者が海外共同研究機関に直接出向き,さらなる研究の進展を図る.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中嶋 浩平 | 東京大学 | 大学院情報理工学系研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
永野 光 | 神戸大学 | 工学研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2021-10-07 - 2025-03-31
【配分額】18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)