産学連携の知的財産法モデル
【研究分野】新領域法学
【研究キーワード】
法受容 / 産学連携 / 知的財産 / 知的財産法 / 民法 / 比較法 / 著作権 / 特許 / ライセンス契約 / 国際情報交換
【研究成果の概要】
本研究では、五つの問題((1)共同研究で創出される様々な知的財産の定義と特性、(2)そこから生じる各種の知的財産権、(3)知的財産の創出主体と権利主体、とりわけ権利の帰属と職務発明、(4)知的財産及びその権利の流通・取引、(5)権利侵害と救済制度)について、研究者とそうでない社会構成員を対象に知的財産問題の理解と受容度に関する「知的財産受容度サーベイ」を実施し、271人のデータを収集してこの結果を分析した。この分析をもとに、設問に法的な解説を付するとともに、知的財産に関する法を研究者等がどのように理解し受容しているかを分析した。理解、受容のために、どのような学習方法が効果的か、あるいは、どのような法情報を提供する必要があるかという観点から、知的財産問題に関する設問、解説、受容度とその分析を「問題学習」にまとめた。これは、教育用とともに、大学の知的財産管理者、教員個人、学生自身の自己啓発・自己学習用に内外で活用されることが期待できる。今後、これらの「問題学習」モデルをさらに拡充して知的財産基準の設定を目指したい。
以上の具体的な実証実験を補強するために、産学連携をめぐる知的財産問題のうち、(1)大学における研究の自由と産学連携の知的財産問題、(2)大学の知的財産取引と産学連携の知的財産問題について、サーベイという手段では十分に検討することができない諸問題は、随時「コピーマート・フォーラム」などを開催し、その成果を「問題学習」研究に反映させた。具体的には、研究共同体における知的財産問題、遺伝資源・伝統的知識の利益配分問題、理系研究資料の配布、所有と合意に関する法受容の問題等について、知的財産法のみならず、その基本法である民法や関連する比較法の視点も入れた検討を行い、「産学連携の知的財産法モデル」を研究した。
【研究代表者】