形態統語論と音声学からみた東南アジア諸語における情報構造の類型論
【研究分野】言語学
【研究キーワード】
東南アジア諸言語 / 情報構造 / 音声分析 / 形態統語論 / 言語学 / 東南アジア言語学 / 言語類型論 / 談話分析 / 語用論 / 音声学
【研究成果の概要】
本研究の目的は、系統と言語類型の点で多様な東南アジア地域の言語の情報構造を、形態統語論的側面と音声学的側面の両方から分析することである。情報構造の表現は言語学の重要課題の一つであるが、従来の個別言語の記述では研究が遅れており,また地域的特徴や言語類型の視点という一般言語学的な視点を欠いていた。
本研究の成果として,東南アジア大陸部の孤立語タイプの諸言語(タイ語,ラオス語,カンボジア語,ビルマ語などの声調言語)による語順を中心とした情報構造の表現法と、島嶼部のタガログ語,インドネシア語での文法小辞の使用および文音調による表現との組合せによる表現との対比が明らかになった。
【研究の社会的意義】
自然会話および書記言語コーパスデータを作成しつつ,対面調査用の共通調査票を作成し,聞き取り調査を行った。これらのデータを基に,主として主題化・焦点化を表す語順の変化,文法標識,アクセントとイントネーションによる強調表現の分析を行った。
本研究は,類型的,地理的特徴の観点から東南アジアの主要言語の情報構造を分析する点に独創性がある。東南アジアは,言語系登場も,言語類型上も極めて多様性に満ちた地域であるが,なお一つの言語地域としてのまとまりを保っている。従来の文を単位とした記述研究を踏まえ,複数の文にまたがる情報構造の研究へと発展させた点に学術上の意義がある。
【研究代表者】