無添加蓄光現象の高速撮像による動的蓄光マーカーの創生とその応用
【研究キーワード】
動的蓄光マーカー / 無添加蓄光現象 / トラッキング / ガルバノミラー / サーモカメラ / 紫外光レーザー / 可視光レーザー / 高速ビジョン / 燐光
【研究成果の概要】
従来のマーカーは外的な特徴量や事前の色素塗布を前提としており,トラッキング対象や条件が制約されていた.そこで,本研究では対象に特徴点が全く存在しない状況でも動的にマーカーを発現させる方法として,無添加で紙や布,構造物等に光を照射し終えても生じ続ける発光現象を利用し,高精度かつ高速な動的蓄光マーカーを実現する.
今年度は,まずカメラによる各素材の燐光寿命測定を測定するため,高速ビジョンで照明照射後の発光現象のイメージングを行い,画像としての特徴量を得ることに成功した.また,入力に適する照明の光量や波長を実験的に確認し入力は深紫外である短波長の方が発光の光量が増すことがわかった.
次に,得られた発光特性や波長の知見を活用し,任意のタイミングで描画可能な単一ドット動的蓄光マーカーの作成を行った.その際,マーカーに関する照明照射やマーカーとして機能しなくなるまでの時間の定式化も行うことができた.これらの成果から,対象に特徴点が全く存在しない状況でも,動的にマーカーを発現させる方法を明らかにしたと考えるに至った.
さらに,研究開始時に想定していなかった成果として,照明の照射光を紫外光だけでなく,可視光も含めることで,対象に温度変化を生じさせ,動的マーカーとして活用可能なことを明らかにした.また,マーカーのトラッキング精度を向上させる手法として,モーションブラーの補償に取り組み,露光時間を長くすることで撮像画像の画質を向上させることに成功し,成果を発表した国内学会にて最優秀研究発表者賞を受賞した.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)