瞳孔反応に基づいた注意対象の同定手法と注意による情報入力システムの構築
【研究キーワード】
瞳孔 / 注意 / インターフェース / 空間周波数 / 奥行き / 対光反射 / 視覚的注意 / 瞳孔反応 / 視線情報入力 / 眼球運動
【研究成果の概要】
本研究の目的は,ヒトが注意を向けた対象の刺激特性と瞳孔応答の関係を定量的に明らかにし,その関係に基づいて注意を向けた対象を同定する手法を確立することである.そしてその手法を用いて,視線を向けずとも注意を向けることで意図した情報を入力するインターフェースシステムを構築することである.
令和3年度においては,まず,注意対象の刺激輝度と瞳孔反応に関して定量的な関係を見出すための検討を行なった.特に,瞳孔対光反射に与える心理状態の影響について調査した.そして,並行して,注意を向けた対象の空間周波数成分と瞳孔応答の関係を定量的に明らかにし,その結果に基づいて注意を向けた対象を同定する手法について検討した.
空間周波数の実験において,異なる2種類の対象画像をフィルターで処理し,高空周波数成分\と低空間周波数成分を持つ画像をそれぞれ作成し,それらの画像を重ね合わせて刺激画像を作成した.観察者は,1枚の画像に含まれるいずれかの対象に注意を向けるように指示された.その間,一つの対象の高空間周波数成分と低空間周波数成分が0.16Hz,0.33Hz,0.5Hzのいずれかの頻度で入れ替わり,瞳孔径が計測された.
その結果,対象の周波数成分の変化に追従して瞳孔系が変化することが明らかになった.そして,瞳孔径変動データから,注意した対象を推定し,その精度を算出した.その結果,用いた刺激交代頻度に関わらず70%以上の推定精度が得られ,交代頻度が低い条件(0.16Hz)においては,約89%の推定精度が得られた.また,個人差の存在も明らかになった.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)