情報通信における確率伝播アルゴリズムの改良と性能解析
【研究分野】通信・ネットワーク工学
【研究キーワード】
通信・ネットワーク工学 / 情報理論 / 通信路符号化 / 誤り訂正符号 / 低密度パリティ検査符号 / 確率伝播アルゴリズム / バースト消失 / アルゴリズム
【研究成果の概要】
1.改良したBP復号法の理論的な性能解析
提案した復号法はBP復号法で失敗するような消失パターンであってもさらに多くの消失を復号できる.これはストッピングセットと呼ばれるLDPC符号に生じるループが原因であるため,検査行列が疎なLDPC符号から効率良くループを除去することで,いかなる性能の劣化も伴わずにBP復号法では訂正できない消失ビットを訂正することができ,訂正ができる十分条件を与えた.提案する2つの復号法は探索するループの対象領域が異なり,復号性能と計算量はトレードオフの関係にある,また計算機シミュレーションによる実験から,様々なLDPC符号に対し約1/10~1/20復号後の誤り率を低減できることを示し,計算量(復号に要する演算回数)の増加もBP復号法と比べて極僅かであることを示した.
2.LR-LDPC符号の改良とその理論解析
研究代表が前年度に提案したLR-LDPC符号について,性能評価を行う解析式から従来のLDPC符号との理論的な性能の差異を明らかにしていないが、符号化率を可変に設定できるパンクチャド符号へ適用できる結果を得た.パンクチャを行うと,要求される訂正能力に応じて符号を無数に用意する必要がなく1つ用意すればよい.LR-LDPC符号がパンクチャされた符号語ビットを効果的に訂正できる構造を有していることを示し,効果的にパンクチャを行う符号語ビットの選択法を提案した.今後はさらに符号構造・復号法の観点の2つの方向から性能解析のアプローチを試みる.
3.非正則LDPC符号,一般化LDPC符号への一般化
本研究で得られた結果は正則なLDPC符号を対象としており,より性能が優れた非正則LDPC符号や一般化LDPC符号へ拡張することも行って良好な結果を得た.まだ検討すべき課題が残っているため,上記課題1~2の結果を参考に,今後さらに検討する必要がある.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(スタートアップ)
【研究期間】2008 - 2009
【配分額】2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)