無料電子論文アーカイブの構築可能性から見た学術情報流通システムの将来
【研究分野】情報システム学(含情報図書館学)
【研究キーワード】
学術情報流通 / 電子メディア / 電子ジャーナル / e-print archive / オープンアクセス / 研究者 / 学術コミュニケーション / 学術雑誌 / 機関リポジトリ / E-print archive / 日本の学術雑誌 / アーカイブ / プレプリント / 研究者の情報利用 / 科学コミュニケーション / 物理学分野 / 自然科学分野 / 電子雑誌 / 化学分野 / 病理学
【研究成果の概要】
1 日本の科学技術医学分野の研究者の電子メディア利用とそれに対する意識
物理学、化学、病理学分野の日本人研究者(1427名,1026名,1276名)に対して1)学術雑誌の利用形態、2)電子ジャーナルとそれ以外の電子メディアの利用状況、3)学術情報流通の将来に関して質問紙調査を行った。回収率は各々54.3%,48.1%,42.4%で主な結果は以下の通りである。電子ジャーナルを週1回以上利用する研究者は7割前後であったが、印刷版の学術雑誌の利用は9割であった。電子ジャーナル以外の電子メディアに関しては、物理学分のe-print archive以外はほとんど利用されていなかった。5年後の学術情報流通は現状と同じという予測が半分、残りはより電子化が進むというものであった。
2 e-print archiveの情報メディアとしての位置づけ
物理学分野におけるarXivのみは、新しい無料での論文単位の学術情報流通システムとして利用されていた。1999年と2003年の調査データの比較、および電子ジャーナルとの比較から、e-print archiveは学術雑誌を代替するメディアではなく、むしろ既存学術雑誌の存在を前提として、その機能の一部を補完するものであることを見出した。
3 学術雑誌の電子化状況
心理学、物理学、一般分野の主要学術雑誌の電子化状況の継続調査を行い、電子ジャーナル黎明期の状況とその特性をまとめた。日本の雑誌(一般雑誌も含む)の電子化状況は、2005年2月時点で、最新号の目次提供で45%、論文本文提供は8%にとどまった。
4 学術情報流通の電子化とオープンアクセス
1990年代以降の学術雑誌以外の無料での電子的な学術情報流通システムが、2003,2004年頃からオープンアクセス運動として議論されるようになった。オープンアクセス運動の動向把握を行い、それらの情報を共有するためのWebサイトの構築を行った。
【研究代表者】