環境適応型のハードウェアとソフトウェアの構成手法に関する研究
【研究分野】計算機科学
【研究キーワード】
環境適応 / 再構成可能性 / 動的変更機構 / 高位合成 / タイミング検証 / アクティブソフトウェア / OBDD / 量子アルゴリズム / 環境適用 / 能動形プログラム / 知識ベース / 論理合成 / ハードウェアのタイミング検証 / 量子計算
【研究成果の概要】
本研究は,環境に適応したハードウェアとソフトウェアの構成手法をテーマとしている.すなわち,対象とする情報システムの設計と構成をハードウェアとソフトウェアの両面から捉えて,環境に適応して自律的に構成を変化できるシステムの構築法を研究の目的としている.
3年間を通じて,次のような側面から,具体的な提案と設計,および,実装を行なった.
(1)環境に適応可能なシステムの構成法について,アクティブソフトウェアの記述と構成,対話型プログラミング環境でのオブジェクトの自発的機能やその拡張性について提案を行ない,具体例の実装を進め,構成法の有効性を示した.(2)環境に適応可能なハードウェアの実現手法として,再構成可能な機構を持つLSIの構成例として,動的に命令列を変更できるJavaプロセッサの構成法の研究,および,視線推定のLSIと不特定対象者の対顔判定LSIの設計を行った.これらは,ハードウェア向きアルゴリズムを確立して,実時間処理による適応可能性を示した.(3)ハードウェアの合成と検証については,二分決定グラフ(BDD)の制約演算に基づく新しい像計算法について研究を進め,アルゴリズムの高速性と大規模な回路への適応可能性を示した.(4)外界の情報を取捨選択し、環境適応に必要な知識を獲得する問題について、順序付き二分決定グラフ(OBDD)を利用する手法を提案し、従来手法で用いられる特徴モデルや論理式とOBDDとを相互に変換するアルゴリズムを設計した。(5)量子計算は,その特徴である量子並列性により,環境の動的特性を一度に把握して,処理できる.新しい量子計算モデルとして,非決定性量子有限オートマトンを取り上げて,その計算能力を,従来の計算モデルの能力と比較する研究等を行なった.
3年間の研究の結果,新しい情報システムの設計と開発にあたり,ハードウェアとソフトウェアを統合して,環境の変化に適応する能力をもつシステムの構成機構を明らかにした.これらの研究成果の詳細は,研究報告書としてまとめている.
【研究代表者】