独居等で療養生活を支える家族のいない中高年がん患者の心理社会的支援に関する研究
【研究キーワード】
がん患者 / 独居 / 心理社会的苦痛 / 社会支援 / インタビュー調査 / 社会的支援 / 進行がん / 心理社会的問題 / がん / 中高年 / 心理社会的支援 / 家族
【研究成果の概要】
本研究は、独居等で療養生活を支える家族のいない中高年の進行がん患者について、①どのような心理社会的苦痛を経験しているのか、②このような患者が地域社会の中で最期まで尊厳を持って安心・安全に暮らしていくためには、どのような心理社会的支援が必要かを明らかにすることを目的としている。
当該年度は4年目にあたり、本年度は主に前年度までに実施した2種類のインタビュー(①中高年独居進行がん患者:計19名、②独居進行がん患者の支援者等:計17名)の逐語録データについて追加の質的データ解析を行った。
本年度は特に支援者データについてより詳細な解析を行った。その結果、独居進行がん患者に対する生活支援における課題について以下のように分類された。①ミクロレベル(例:支援者側の知識・技術不足、患者側の支援受け入れ拒否)、②メゾレベル(例:支援者間の連携不足)、③マクロレベル(例:社会制度の限界、社会資源不足)。また、支援を提供する際に必要な配慮・工夫について以下のように分類された。①ミクロレベル(例:先見性のある介入、ICTの活用)、②メゾレベル(例:支援者間の連携・情報共有)、③マクロレベル(例:社会制度・システムの改善)。
独居進行がん患者が直面する心理社会的苦痛については、その苦痛に関与している社会的状況を構造的に捉え、その苦痛の発生頻度、苦痛の程度や特徴を計量的に明らかにした上で、独居進行がん患者の心理社会的支援のあり方を検討することの重要性が示唆された。
【研究代表者】