ゲノム編集をめぐる倫理規範の構築を目指して ー科学技術イノベーションと人間の尊厳
【研究キーワード】
ゲノム編集の生殖応用 / 人間の尊厳 / 女性の身体の活用 / 子の自己決定権 / 予想外の結果に対する技術の責任 / エンハンスメント / 難病者や障がい者への差別 / 優生思想 / クリスパ―キャス9 / 出生前の子の遺伝子操作に関する親の自己決定権 / オフターゲットとモザイク / 女性の身体の実験的利用 / 想定外の事態に対する科学者の責任 / ゲノム編集 / 生殖応用 / 法規制 / 生殖補助医療 / 次世代の権利 / 技術と倫理 / 社会的合意形成と倫理 / ゲノム編集技術の生殖利用 / インフォームドコンセント / 社会的合意形成と対話 / 倫理規範 / 自己決定権
【研究成果の概要】
本研究は、日本学術会議第24期連携会員哲学委員会「いのちと心を考える」分科会委員のうち9名が参画し、同分科会委員長田坂さつきを研究代表者とする。本研究は、日本学術会議の医学・医療領域におけるゲノム編集に関する2017年の提言に対して、哲学・倫理の観点からゲノム編集の倫理規範の構築を目指す提言を2020年に発出した。また日本哲学会、日本倫理学会で、研究代表者が実施責任者としてワークショップを実施し、医療従事者や市民とサイエンスカフェや哲学カフェを広島と横浜で実施した。最終年度2022年3月には、ゲノム編集の生殖応用の倫理問題を解明する共著書を研究代表者と研究分担者で執筆し知泉書館から出版した。
【研究の社会的意義】
哲学・倫理領域からゲノム編集の生殖応用に関する提言を学術会議から発出し、その英語版を学術会議のホームページで公開した意義は大きい。最終年度に出版した共著本は、オックスフォード大学のドミニク・ウィルキンソン教授が来日予定の講演原稿の翻訳を掲載しており、学術的にも意義がある研究成果であった。
中国でのゲノム編集児の出産が報じられて以降、社会の関心が高かったためか、NHKの教養組出演の依頼が連携会員にあり、2020年に研究会で招聘したオックスフォード大学のジュリアン・サブレスキュも出演した。4回開催したシンポジウムは毎回100名程度の参加者があり、市民の関心の高さが窺われた。
【研究代表者】