糖尿病患者の認知機能低下を予測する新規バイオマーカーの探索とメカニズムの解明
【研究キーワード】
酸化型アルブミン / 糖尿病合併症 / 高齢1型糖尿病 / 酸化ストレス / 認知機能 / 糖尿病
【研究成果の概要】
糖尿病患者164名の背景因子および合併症の状況と酸化型アルブミン(HNA%)の関連を横断的に検討した。HNA%は年齢、罹病期間、収縮期血圧と正の相関を認め、eGFRと負に相関した。糖尿病神経障害の有無、網膜症の進行、腎症の病期、冠動脈疾患既往のいずれともHNA%は有意な相関を示し、重症度が上がるほどHNA%は増加する傾向がみられた。MMSEの間に有意な関連は認めなかった。
大学病院を受診した1型糖尿病225名において、高齢者の割合は全体の36%を占めた。重症低血糖あり群では血清Cペプチド値が有意に低かった。高齢者群では定期外来受診時採血の血糖値低値と重症低血糖既往の関連が乏しかった。
【研究の社会的意義】
当初の仮説である認知機能との関連は示せなかったが、酸化ストレスの血清バイオマーカーが、代表的な糖尿病合併症である神経障害、網膜症、腎症ならびに冠動脈疾患既往の全てと有意に相関したとする報告は初であり、特に腎機能低下に至っていない患者群でも、神経障害がある場合に有意に高値であったことから、酸化型アルブミンは糖尿病合併症の進行を早期に予測する有用なマーカーとなる可能性がある。
インスリン治療を必須とする1型糖尿病は重症低血糖の回避が容易でない。高齢1型糖尿病を対象とした臨床研究は少なく、重症低血糖リスクが高い群の抽出が困難であることを示した。1型糖尿病の高齢化への対応は急を要し、更なる検討を要する。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
青山 倫久 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)