絆をつむぐ周産期グリーフケアの実装:看護職リトリート・プログラムの導入
【研究キーワード】
周産期喪失 / グリーフケア / 助産師 / ストレス / 現任教育 / 喪失 / 看護師 / メンタルヘルス
【研究成果の概要】
流産・死産・新生児死亡により周産期に予期せず子どもを失った女性とその家族の悲しみは計り知れず、看護職による十分なグリーフケアが求められる。しかし、我が国では全国レベルの支援教育体制はなく、医療施設及び地域での周産期グリーフケアの質は一定ではない。一方、グリーフケアを担う看護職は十分な支援を受けられておらず、グリーフケアに自信がなく、組織からの支援も不足との報告がある。病院・診療所に勤務する助産師681名の調査では、84%の助産師が心的外傷体験を経験し、その第一要因は予測しない急変や子どもの死であり、その後の離職意向は15%に認められた(麓・堀内、2017)。すなわち周産期喪失のケアで看護者は共感疲労(緊張状態と患者のことが頭から離れない状態)に陥りやすく、看護職への支援は焦眉の急を要する。
本研究は、周産期グリーフケア研修に加えて、看護職にリトリート・プログラムを導入し、流産・死産・新生児喪失の家族の絆をつむぐグリーフケアを実装し、アウトカム(ケア実施数・忠実度・受容度・看護職メンタルヘルス)を評価することである。
2021年度は、研究計画書を倫理審査委員会の承認を得て、データ収集・一次分析を実施した。計画当初のリトリート研修は、森林浴のできる場所で宿泊研修を予定していたが、COVID-19感染拡大防止のため、大学構内の広い教室で対面での講義・演習・からだを動かすワーク・マインドフルネスを2日間実施するよう変更した。関東近郊の複数の周産期医療機関から助産師11名の参加者を得て、プログラムを実施し、その後毎月1ヶ月毎に6ヶ月間のフォローアップ評価を行った。自由記載には、研修後にグリーフケアを実施した際に、対象の夫婦から肯定的な評価を得たとの回答を認めた。一方、コロナ禍であり多忙を極める職場では周囲からの支援が受けられない悩みも届いた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大久保 菜穂子 | 順天堂大学 | スポーツ健康科学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
島津 明人 | 慶應義塾大学 | 総合政策学部(藤沢) | 教授 | (Kakenデータベース) |
岡田 明子 (蛭田明子) | 聖路加国際大学 | 大学院看護学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)