フィリピンにおける2つの「貧困」とコミュニティ:低所得者層の生活習慣病問題
【研究キーワード】
フィリピン / 貧困緩和と格差拡大 / 肥満 / 有機農業 / プラント・ベース / ホール・フード / グローバル化 / 貧困 / 生活習慣病 / 健康
【研究成果の概要】
現地調査については,コロナ禍のため,限定的なものにならざるをえなかったものの,昨年同様に,調査対象となる方々の協力を得て,調査地における社会状況についての情報を逐一SNSにおけるチャットと写真によって得ることができた。
また,一週間二度を原則として,オンライン型のインタビューをインフォーマントとその関係者との間で実施してきたものを継続し,相応のデータを収集することはできたものの,個票データの収集は困難であった
以上の状況の下に,これまでの研究結果の中間報告を2度行うと同時に,『現代国際社会と有機農業』という書物の編集に携わり,担当する7章,すなわち,「大分岐」と有機農業(第1章),食と健康(第2章),食と環境(第3章),有機農業小史(第4章),「民衆」が創造する有機農業(第5章),フィリピン:緑の革命から遺伝子革命(第13章),フィリピン:有機農業への道(第14章)を執筆し,2022年度における刊行に向けて準備した。
それは,(1)IFOAMのいうORGANIC 2.0が登場する経緯と背景の議論から出発し,(2) 戦後の農業開発,とくに緑の革命以降,発展途上国における慣行農業の発展がもたらした光と陰を考察し,有機農業のもつ意義をあきらかにする。その上で,(3)グローバル化がもたらした格差拡大に抗するフィリピンにおける農民たちの営みを再検討したものである。
さらに,都市貧困層の健康の動態を考察するための基礎条件については,雑誌『東洋文化』102号において「未来を紡ぐ人々」という論考を発表し,実態調査の条件を含めて40年間の変容について検討した。それは,2022年度以降に,現地の医師とともに行う貧困地区における食と健康の実態調査の前提となるものである。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)