エネルギー代謝維持多臓器間サーキットのハブ臓器としての腎臓の意義と代謝性腎症
【研究分野】腎臓内科学
【研究キーワード】
慢性腎臓病 / MKD / 臓器連関 / SGLT2 / NAD / グレリン / 腸内細菌 / 腎性インスリン抵抗性症候群 / NAD代謝 / サルコペニア / 無菌マウス / 筋萎縮 / インスリン抵抗性 / 腎線維化 / 心腎連関 / NNMT / NAD代謝 / 内科 / 糖尿病 / 薬理学 / シグナル伝達 / 臨床
【研究成果の概要】
糖尿病性腎症を始めとする代謝異常に基づくCKDをMKD(Metabolic Kidney Disease)ととらえMKDにおいては、心蔵、肝臓、脂肪組織、腸管に機能・構造的障害が続発的に発症し、全身のエネルギー代謝の障害を引き起こす。MKDでのSGLT2の発現調節、肝臓由来のケトン体の意義、腸内環境の偏倚によるインスリン抵抗性の発症などを解明した。更にMKDによるエネルギー代謝障害が、MKDの病態をさらに加速する。特にNAD代謝異常が腎線維化に及ぼす影響を明らかにした。これらの成果を用いた新規治療の開発も行い、グレリンの腎不全に対する臨床応用、NAD前駆体NMNの臨床応用を進めている。
【研究の社会的意義】
腎臓内の代謝変容に注目するmetabolic Kidney Disease(MKD)が引き起こす病態と腎臓をエネルギー代謝のハブ臓器として捉える新たな概念により、新規治療標的、NAD代謝異常、ケトン体代謝、インスリン抵抗性(腎・脂肪組織・肝臓連関)、腸内細菌の偏倚(腎・腸連関)が明らかとなった。これらを臨床応用する研究、すなわちMKDマーカーとしてのNAD代謝産物、NAD前駆体であるNMN、NNMT活性阻害薬、グレリンのMKDへの治療応用の試みが始まり新規CKD治療薬の開発が始まった。この研究の成果により透析抑制さらにCKD患者のサルコペニア、フレイルの予防が可能になれば社会的にも意義深い。
【研究代表者】