現代中国インディペンデント映画:生産・流通・消費を通じた批判的公共言説の生成
【研究キーワード】
中国 / 映画 / インディペンデント映画 / 生産 / 流通 / 消費 / 批判的公共言説 / 地域研究 / 独立映画 / 関係性 / 社会学
【研究成果の概要】
本研究は、現代中国のインディペンデント映画――政府の公式上映許可を得ていない、比較的低予算の映画;フィクションとドキュメンタリー双方を含む――に焦点を当て、その生産・流通・消費を通じた「批判的公共言説」(critical public discourse)の生成メカニズムを、中国国内事情を越えるトランスナショナルなつながりをも視野に入れて、主に社会学的参与観察と質的インタビューの方法を用いて、明らかにすることを目的としている。「批判的公共言説」とは、政府の政策に対する直接的批判に限らず、より広義であり、権威主義体制下の現代中国において政府が発信する様々な公共言説とは異なるオルターナティブな省察である。批判的公共言説には、1)映像作品としての映画と2)作品に関する批評や討議のような、映画をとりまく非・映像言説が含まれる。分析的には、「国家と社会」、「生産と消費」、「テキストとコンテキスト」、「人とモノ」、「研究者と研究対象」、「ナショナルとトランスナショナル」の「六つの関係性」に焦点を当て、本質主義を超える、「関係性的社会学」(relational sociology)に基づいた地域研究の彫琢を目指す。第二年度である2021年度は、COVID-19の感染収束を前提に中国における現地フィールドワーク実施を予定していたが、上海・北京等主要フィールドワーク予定地での感染再拡大のため断念した。他方、現地で実施予定であったインタビューをオンラインで行い、参与観察以外のデータの収集は、ほぼ計画通りに進んだ。さらに、初年度から継続して、研究枠組みの彫琢/映画作品の収集・鑑賞/2022年度実施予定の中国におけるフィールドワークの詳細を確定した。本年度の成果として、三点の英文単著論文と本研究テーマと関連する書籍の英文単著書評一点の出版を確定することができた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)