可逆的ナノ粒子集積を用いたタンパク質の超マルチカラー・高感度イメージング基盤
【研究キーワード】
蛍光ナノ粒子 / DNAナノテクノロジー / バイオイメージング / バイオマーカー / マルチ検出 / 集積体 / 超マルチカラーイメージング / 画像診断
【研究成果の概要】
本研究では、一本鎖DNAを修飾した抗体と蛍光ナノ粒子、そしてリンカーDNAをビルディングブロックとして用いる。まず、DNA修飾抗体で細胞膜上の標的タンパク質を標識する。続いて、抗体、ナノ粒子に修飾されたDNAと相補的な配列を持つ一本鎖DNAをリンカーとして用いて、二重らせん形成を利用して抗体と蛍光ナノ粒子を結合させる。これを起点とし、リンカーDNAを用いたナノ粒子集積を繰り返すことで、蛍光シグナルを増幅していく。
今年度の検討において、ビルディングブロックとして用いる有機半導体ポリマー蛍光ナノ粒子(Pdot)の合成及びサイズ制御手法を確立した。THF中に有機半導体高分子であるF8BT及び分散安定剤であるスチレン/無水マレイン酸共重合体(PSMA)を溶解し、超音波照射下で純水中に滴下することで、Pdotを合成した。貧溶媒である純水中でF8BTが核発生した後、PSMA中の無水マレイン酸が加水分解して親水化することで粒子表面が保護され、核成長が停止する。この際、溶媒のpHによってこの加水分解速度が変化することに着目し、適切なイオン濃度下でPHを変化させることで、合成される粒子径を20~数百nmの範囲で任意に制御することが可能となった。
続けて、末端をアミン化した一本鎖DNA及びPEGと粒子表面のカルボキシ基とをカルボジイミド反応で結合させることで、Pdot表面にDNAを修飾した。DNAの二重らせん形成を利用した集積化では高塩濃度が必要となり、この環境下で粒子の分散安定性を維持する必要がある。DNAとPEGの混合比及び修飾密度を変化させて実験を行った結果、ハイブリダイゼーション条件下でも凝集しない修飾条件を見出すことができた。さらに、モデル細胞として金ナノ粒子を用い、得られたDNA修飾PdotをリンカーDNAと共に加えた結果、金ナノ粒子表面にPdotが集積されていることが確認された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)