公法における国境概念の変容:「非国境型行政空間」の法的エコシステムの解明と設計
【研究キーワード】
域外適用 / 国境 / 公法 / 国内法 / 国際法 / プラットフォーム / 行政法 / 競争法 / 国際刑事法 / 執行管轄権 / 立法管轄権 / グローバル化現象
【研究成果の概要】
新型コロナウィルスの拡大が本格化した2020年度は,研究チーム全員がそれに対応したオンライン授業の組み立てや,学務上の用務に忙殺されることとなり,そのために研究計画を変更し,各自が文献調査と成果公表に専念することとした。
国内法の域外適用については,2020年度で立法管轄権の行使について一定の区切りを付けることとした。国内法研究者が,域外適用は国際法の問題であるとして避けるというこれまでの傾向に疑問を呈し,国内法の解釈問題という側面にもっと注目するというスタンスをほぼ共有できたからである。それをもとに,通常の法解釈の方法論として,国内法として域外適用の可否についてメンバー各自の分野での研究を推進することを確認するとともに,国際法プロパーの問題として,積極礼譲,消極礼譲の問題を取り上げるというアプローチをとることにした。
また,国境を越える事業形態として近時注目されるデジタル・プラットフォームについて,2020年度末から2021年度にかけて,刑事法,国際経済法,行政法,消費者法,そして国際法の観点からの視点を付き合わせた研究をスタートさせることにした。プラットフォームの理解の仕方について,新たなタイプの事業者の登場とみるか,それとも,プラットフォームのエコシステム性を重視するかで,法的議論の仕方が大きく変わってくることについて,ある程度共通了解を得た。前者の見方をとると,基本的にこれまでの議論をあてはめることになるが,後者の見方をとると,国内法がこれまで使ってきた「害悪をもたらす者を特定し,その行動を制限する」という法規制のアプローチそのものが有効ではない可能性があり,考え方を大きく変更する必要があるなどについて検討した。
【研究代表者】