生体材料評価系としてのストレスシグナル伝達系の開発と応用
【研究分野】機能系基礎歯科学
【研究キーワード】
ストレス / シグナル伝達 / MAPキナーゼ / 生体材料
【研究成果の概要】
本研究は、炎症性サイトカインや様々な物理化学的ストレス刺激によって活性化され、細胞の生と死の制御に非常に重要なシグナルを伝達しているストレスシグナル伝達系に注目し、生体材料適合性・安全性の新たな評価系としてこの伝達系の活性化を指標とすることにより、医用生体材料の生体適合性・安全性の迅速かつ高感度な判定方法を全く新しい観点から構築することを目的とした。まず、ストレス感受性キナーゼであるJNKならびにp38の活性化を鋭敏に検出する系を確立し、さらにそれらの制御分子であるASK1が酸化ストレスによるJNK, p38の正常な活性化に必須であることを明らかにした。続いて、ASK1の活性化を鋭敏にモニターできる抗体の作製ならびにその評価を行った。我々はASK1のキナーゼ領域に存在する845番目のスレオニン残基のリン酸化がASK1の活性化に必須であることを見いだし、その部位のリン酸化状態を認識する抗体を作製した。この抗体は、これまでのin vitroキナーゼ解析によるキナーゼ活性評価法を上回る感度でASK1の活性化を認識しうることが確認された。この抗体を用いた生化学的な解析とASK1ノックアウトマウスのさらなる解析により、ASK1は酸化ストレスのみならず、小胞体ストレスによるアポトーシスの誘導にも必須の分子であることが明らかとなった。これらのことから、ASK1-MAPキナーゼ系は、予想以上の様々なストレスに対する反応性を規定する重要なシグナル伝達系であり、その活性化を捉えることが本研究の目指す生体材料評価系として非常に有用であることが示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
一條 秀憲 | 東京大学 | 大学院・薬学系研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】13,300千円 (直接経費: 13,300千円)