現代スピリチュアリティ文化の学際的研究-ウェブコミュニティを通じたネットワーク形成の視点から-
【研究分野】宗教学
【研究キーワード】
スピリチュアリティ / ウェブコミュニティ / インターネット / 宗教性 / 宗教社会学 / 応用宗教学 / 新霊性運動 / ブログ / 霊性
【研究成果の概要】
本課題の目的は、これまで情報の蓄積においても、学術的な定義においても把捉しづらかったスピリチュアリティについて、主にウェブコミュニティを通じて情報を収集、分析し、その成果を学術的な議論・応用の場に提供することである。具体的にはポータルサイト「スピリチュアル・ナビゲーター」(略称Spinavi)と投稿者の更なるコミュニケーションを促すブログ「My Spinavi」を立ち上げ、その運営を行った。投稿者数約1500名、月30万-100万ヒットを記録。フォーラムのカテゴリー数11で総スレッド数は約300、総投稿数は約1年間で2812件を数えた。フォーラムの特性としてスピリチュアルな気づきに関する語り、語ること自体に生まれる気づきがあり、フォーラムの理念として、語る・気づく・変わる・幸せになるを掲げることとなった。
本課題では情報発信とフィードバック(コメント)の観点から、投稿者のスピリチュアル心理テストの因子分析や、このコミュニティ上のフォーラムとスピリチュアル関心層のブログにおける投稿量との重回帰分析、ブログのコメント、トラックバックの織りなす関係性の分析を行ってきた。その結果、Spinavi投稿層には自立的なスピリチュアリティが見られるものの、長期的な関係性の中で共生していく志向性は持ち合わせておらず、結果としてスピリチュアル危機ともいうべき志向性が確認された。またブログ投稿層には「励ましのコミュニティ」と名付けられる共同性が見られるものの、弱く浅いスピリチュアリティに留まることが指摘された。
今後の実践的な課題として、(1)スピリチュアリティを媒介にした対話の可能性、(2)関心層と信仰者層をどう結びつけるかが問われることなったが、(3)スピリチュアルケア、いのちの教育、地域活性化など本課題で得た知見をいかせることは大きいと結論づけることができよう。
【研究代表者】