体内時計を利用した炎症性腸疾患の病態制御
【研究キーワード】
IBD / 炎症性腸疾患 / タイトジャンクション / 免疫 / ストレス / 腸内環境 / 体内時計
【研究成果の概要】
所属移転に伴うin vivo系実験の見直しに加えてコロナ禍での実験変更を余儀なくされ、in vitro系を立ち上げるに当たり、腸上皮細胞(Caco-2およびHT29)を用いて概日リズム性を刻む因子のスクリーニングを行った。時計遺伝子発現(BMAL1、PER1、PER2)が概日リズム性を刻むことを確認し、特にBMAL1とPER1、PER2が理論通り逆相を示すことも確認した。その後、タイトジャンクション関連分子であるCLAUDIN-1(CLDN1)、OCCLUDIN(OCDN)およびZO1(TJP1)の発現が概日リズムを刻むことを見出した。その後、IBD炎症様モデル下においてこれらのリズム性の動きを検証した。BMAL1のリズム性は弱くなり、位相は後退することを検出し、末梢時計が炎症により乱れることが確認できた。また、CLDN1およびOCDNのリズム性は強さをほぼ同等に保ったまま位相が前進することがわかった。ZO1はリズム性が弱くなったが位相には変化がなかった。
このことは、末梢時計のリズムの乱れによって腸管バリアのリズム性にも変化が現れている可能性を示唆し、炎症により位相の変化が見られることから、位相を変化させる外的因子(ノビレチン等のポリフェノール類)で炎症後のリズムの変化を見ていく必要があるように思われる。また、ZO1のように位相に変化が見られない分子についてもリセットする外的因子をスクリーニングする必要がありそうである。今後はムチンやサイトカインの発現レベル、リズム性の変化について検証し、in vivo系への発展につなげていく予定である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)