EBウイルス関連腫瘍の発生機構
【研究分野】人体病理学
【研究キーワード】
EBウイルス / 胃癌 / 膿胸関連リンパ腫 / インターロイキン1-β / 遺伝子多型 / メチル化 / プロモーター / AIDSリンパ腫 / EBウイルス関連腫瘍 / EBウイルス関連胃癌 / IL1-β / 胃癌細胞株 / アポトーシス / DNAチップ / 遺伝子発現プロファイル / SCIDマウス移植株 / プロモーター領域
【研究成果の概要】
EBウイルス関連胃癌:EBウイルス関連胃癌SCIDマウス移植株の遺伝子発現プロファイルを解析し,サイトカイン関連遺伝子の中でインターロイキン1-β(IL1-β)が高発現していることを見出した.In situ hybridization法により,切除された胃癌症例でもEBウイルス関連胃癌特異的にIL1-βのシグナルが認められた.次いで,胃癌患者におけるIL1-β遺伝子多型について調査したところ,EBウイルス陰性胃癌患者では胃体部発生胃癌の危険因子になる多型が存在した.EBウイルス関連胃癌ではautocrineによる腫瘍維持に,陰性胃癌では多型を通じて発癌にIL1-βが関与していると考えられた.
Methylation specific PCR (MSP)法を用い,癌関連遺伝子プロモーター領域のメチル化を検討したところ,EBウイルス関連胃癌で広範な遺伝子にDNAメチル化がおこっていたことが判明した.とくに,p16,E-cadherinでは,プロモーターのメチル化に伴い,発現低下,発現異常が生じていることが免疫組織化学的に確認された.さらに,p14遺伝子プロモーター領域29箇所のCpGメチル化をBisulfiteシーケンス法で調べると,EBウイルス陰性胃癌と対照的に,極めて高密度のメチル化が生じていた.EBウイルス関連胃癌と陰性胃癌では,DNAメチル化酵素Dnmt1,3a,3bの発現亢進に差はなく,EBウイルス感染特異的なメチル化機構が存在している可能性がある.
膿胸関連リンパ腫:膿胸関連リンパ腫がIII型のEBウイルス潜在期を示す特徴を持っていることから,同一潜在感染状態を示すAIDS関連リンパと発現プロファイルの比較を行った.RRAD,CEB1,GFOD1,INSR (insulin receptor, X02160),MGC23980(C9orf72)の5個の遺伝子が膿胸リンパ腫を特徴付ける遺伝子として抽出された.
【研究代表者】