メダカをモデルとする低線量率被ばくがもたらす全身性炎症反応の解明
【研究キーワード】
放射線 / 炎症 / 遺伝子 / メダカ / 精巣卵 / 腎臓 / 好中球 / 放射線影響 / 低線量率 / 行動 / 低線量放射線 / 遊泳行動 / 遺伝子発現解析 / 酸化ストレス / 赤血球 / 遺伝子発現 / 低線量率放射線 / 精巣
【研究成果の概要】
野生型メダカに7日間にわたって総線量100mGyのガンマ線を照射した。全身の連続組織切片を用いて各器官の組織変化を調べた。B型精母細胞の数の減少と、鰓上皮の増殖の低下が観察された。精巣卵形成には、線量率効果がなく、50mGy急性照射で精巣卵が生成された。トランスクリプトーム解析では、解糖系やペントースリン酸経路に関連する遺伝子の発現が抑制されていた。また、抗酸化に重要な役割を果たすNADPHの産生が亢進していた。照射中の遊泳行動をビデオ撮影し、数値化すると照射魚の遊泳行動は、照射期間の5日目と6日目に向上した。クロレラを摂取すると、サイトカインと炎症メディエーター遺伝子の発現が低下した。
【研究の社会的意義】
慢性的な炎症状態の持続は様々な疾患の原因となることが近年急速に明らかになっているが、軽微な炎症反応は自然と治癒・沈静化するためにこれまで大きな注意を払われてこなかった。低線量率長期被ばくが脊椎動物(メダカ)の体のハード(組織構築)とソフト(行動と遺伝子発現パターン)に与えるインパクトを網羅したデータを収集し、RNA-Seq解析とマクロファージと好中球の動態と精巣卵形成が低線量率長期被ばくの生物影響評価に有効な指標となることが明らかにされた。照射下での遊泳行動には、変化が認められたので、再現性と線量依存性の確認が必要である。また、未成熟期での亞致死線量照射に発癌抑制効果があることを示した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
尾田 正二 | 東京大学 | 大学院新領域創成科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
小賀 厚徳 | 山口大学 | 大学院医学系研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】44,330千円 (直接経費: 34,100千円、間接経費: 10,230千円)