新規バイオマーカーに基づく免疫抑制剤の用法用量の個別最適化
【研究分野】医療系薬学
【研究キーワード】
臓器移植 / 免疫抑制剤 / バイオマーカー / 拒絶反応 / プロテインチップ / 薬物動態・薬力学解析 / 低浸襲 / Non-invasive
【研究成果の概要】
臓器移植において、針生検に代わる、低侵襲、迅速、頻回にモニタリング可能、かつ信頼性の高い拒絶反応のバイオマーカーを開発することを目的に研究を行った。
常法によりラット異所性心移植モデルを作成した。急性拒絶モデル(ドナーにACIラット、レシピエントにLewisラット)および非拒絶モデル(ドナー、レシピエント共にLewisラット)において、術後3日目と4日目に採血と採尿を行い、プロテインチップTOF/MS装置(surface-enhanced laser desorption/ionization time of flight mass spectrometry;SELDI-TOF MS)解析により、タンパク質発現プロファイリングを行った。
非拒絶モデルと比較して急性拒絶モデルで発現が大きく変化するタンパク質を探索したところ、以下のような結果を得た。
血漿サンプル
1)陽イオン交換チップ:分子量電荷比(m/z)3,500、3,600、4,200、および6,500のタンパク質の発現が、拒絶反応により誘導された。一方、13,000のタンパク質は、拒絶反応により発現が抑制された。
2)陰イオン交換チップ:m/zが7,000、8,000、および9,000のタンパク質の発現が、拒絶反応により誘導された。一方、13,000のタンパク質は、拒絶反応により発現が抑制された。
3)金属(Cu)修飾チップ:m/zが9,000、11,500、および15,000のタンパク質の発現が、拒絶反応により誘導された。一方、7,000、18,000、および21,000のタンパク質は、拒絶反応により発現が抑制された。
尿サンプル
4)陰イオン交換チップ:m/zが3,300、4,400、および5,500のペプチドの発現が、拒絶反応により誘導された。一方、陽イオン交換チップからは、m/zが4,400、および29,000のペプチドおよびタンパクの発現が、拒絶反応により誘導された。金属(Cu)修飾チップからはバイオマーカー候補は見いだされなかった。
これらの分子量のタンパク質やペプチドは、低侵襲、迅速、頻回にモニタリング可能な急性拒絶のバイオマーカー候補と考えられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
谷川原 祐介 | 慶磨義塾大学 | 医学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】3,900千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 300千円)