新分野「食のエピジェノミクス」創生の基礎研究
【研究分野】食品科学
【研究キーワード】
アミノ酸 / エピジェネティクス / ヒストン / クロマチン / 転写因子 / DNAメチル化 / 食餌タンパク質 / ラット / ゲノム / RLGS / 栄養条件
【研究成果の概要】
本年度は、食餌成分のうちアミノ酸に注目し、アミノ酸の利用性によるエピジェネティクスレベルでの変化を検出できるか否かを解析した。特にアミノ酸に欠乏に鋭敏に応答する遺伝子であるIGFBP-1遺伝子に着目し、これらの遺伝子部位におけるヒストンのアセチル化およびメチル化の変動を免疫クロマチン沈降法(ChIP法)で検出した。HepG2細胞をロイシン欠乏培地(-Leu)で12時間処理し、同遺伝子を含む領域約30kbpについて3kbpの解像度で測定した。ヒストンH3のアセチル化は転写開始点付近(+73および-3357)においてロイシン欠乏で有意に増加した。H4については転写領域から上流20kbにかけて幅広い領域で有意な増加が認められた。H3のメチル化に関しても、転写促進性のLys4のメチル化では転写開始点付近で増加し、逆に抑制性のLys9のメチル化は10数kb以上上流の領域で減少しており、ロイシン欠乏による同遺伝子の転写制御と良く対応していた。同じ条件において各種転写因子の結合状態をChIP法で調べたところ、数kb上流付近へのATF-3、ATF-4およびC/EBPβの結合が-Leuで有意に増加しており、これは他のアミノ酸応答遺伝子であるアスパラギンシンターゼ(AS)遺伝子でも明確に観察された。これらの転写因子の機能をより明確にするため、各転写因子をノックダウンした場合にIGFBP-1およびAS遺伝子のアミノ酸に対する応答がどのようになるかを検討した。ATF-3およびATF-4のノックダウンの場合にこれら遺伝子の発現上昇が抑制されたので、これらの転写因子の重要性が確認された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
塩田 邦郎 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)