MICA蛋白の翻訳後修飾の分子機構解明による抗腫瘍免疫活性の増強
【研究分野】消化器内科学
【研究キーワード】
腫瘍免疫 / MICA / 免疫療法 / 切断酵素 / 分泌 / 癌 / 免疫学
【研究成果の概要】
C型肝炎感染から肝臓癌を発生しやすい宿主因子としてMICA遺伝子の上流の一塩基多型を 以前に報告した。その際、肝癌になりやすい人はMICAの発現量が少ない(癌になっても腫瘍免疫を惹起することが出来ない)ことが推定された。しかし、MICAの発現制御は、転写レベルだけではなく、転写・翻訳語の切断による癌細胞表面からの離脱も挙げられる。本研究では、MICA蛋白の切断離脱を阻害する化合物を蛋白分解酵素阻害剤ライブラリーからFAAH阻害剤にその作用があることを同定した。FAAH阻害剤はTIMP3発現増強を介してMICA蛋白の切断を阻害した。この結果を応用すると腫瘍免疫の増強につながる可能性がある。
【研究の社会的意義】
本研究によって、肝癌発癌に関与する遺伝子であることが以前に同定されている自然免疫関連分子であるMICAの癌細胞表面からの切断分泌を阻害する化合物を同定できた。
MICA蛋白は癌細胞表面に表出されると "eat-me signal"として作用し、免疫応答を惹起するトリガーとなるが、癌細胞ではMICA蛋白を切断して上清に分泌させてしまう機能がある。本研究によってFAAH阻害剤がMICA蛋白の切断を阻害し、癌細胞表面に表出されたMICA蛋白の量を維持する機能があることが判明した。この知見を応用すれば、癌免疫を増強し、発がん抑制や癌治療の増強につながることが期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大塚 基之 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2017-04-01 - 2020-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)