in vitro血管壁損傷評価システム開発と動脈瘤発症メカニズムの生体力学的検討
【研究分野】流体工学
【研究キーワード】
細胞・組織 / 脳動脈瘤 / 血管壁損傷 / せん断応力 / 力学的刺激 / 内皮細胞 / 血管損傷評価システム / 組織培養
【研究成果の概要】
本研究では,動物から摘出した血管組織を用い,生体内を模擬した培養環境下において,力学的作用による血管内壁の損傷の実験的評価行った.まず,血管損傷評価システムを開発し,次いで,同システムを用いて血管組織に流れを負荷し,流れによる壁面せん断応力が血管内壁に与える損傷について定量的に検討・考察した.
血管試料として,日本白色家兎の胸部大動脈(直径約4mm)を用い,蛍光染色した試料を血管流路デバイスに装着し,灌流培養により流れを負荷しながら血管内面の観察を可能にした.同一試料において,体積流量を600〜2100mL/minと段階的に増加し,同様に流れの負荷と撮影を行った.壁面せん断応力に置き換えるとτ=26.7〜268dyn/cm^2である.なお,本研究におけるサンプル数は6である.損傷の評価指針として血管内皮細胞の個数密度に着目する.無作為に撮影した8箇所の観察領域(331μm×439μm)において,細胞個数密度を計測し,各観察領域における平均値と標準誤差を求める.そして,各流量条件での個数変化を計測することにより,壁面せん断応力との相関を検討した.以下に本研究で得られた結論を示す.
・生体内を模擬した培養環境下において,血流を制御することで壁面せん断応力による血管内膜の損傷を観察・評価可能な血管損傷評価システムを開発した.
・同システムを用い,日本白色家兎の胸部大動脈6サンプルに対して,段階的に壁面せん断応力を増加する実験を行い,血管内皮細胞の個数密度を用いて損傷の評価を行った.
・壁面せん断応力が103〜154dyn/cm^2のときに,血管内皮細胞の個数密度が顕著に減少した.これより,血管内皮細胞は103〜154dyn/cm^2ではく離し損傷すると考えられる.
・高壁面せん断応力を負荷した際の標準誤差の増大から,血管内皮細胞のはく離は,血管全体において局所的に生じると考えられる.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山本 貴富喜 (山本 貴富貴) | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
山本 創太 | 名古屋大学 | 工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)