赤痢アメーバのトロゴサイトーシスの分子基盤の解明
【研究キーワード】
赤痢アメーバ / 腸炎 / 貪食 / 病原機構 / 受容体 / キナーゼ / フォスファターゼ / 脂質輸送 / 貧食
【研究成果の概要】
一般に言われる貪食の形態には、通常の「丸呑み」に近い死細胞を取り込む貪食と近年その存在が示されつつある咀嚼食が存在する。本研究ではヒトの大腸に寄生する赤痢アメーバにおける咀嚼食の分子基盤を明らかにする研究を行った。赤痢アメーバが生きた細胞を補足する過程で機能するシアル酸結合細胞表面受容体の候補を同定した。また、咀嚼食に関与するフォスファチジルイノシトール(PI)シグナリングに関与するキナーゼとフォスファターゼをゲノムから同定し、そのうちPI(3,4,5)P3の脱リン酸化に関与するPTENが咀嚼食に関与することを明らかにした。また、PIリン酸の細胞内輸送に関与する脂質輸送タンパク質を同定した。
【研究の社会的意義】
赤痢アメーバによる腸炎・赤痢は海外では年間に世界人口の約1%が感染するとされている重要な感染症である。日本国内でも年間1000例を超える届け出のある最多の寄生虫症である。赤痢アメーバの病原機構の中心を占める咀嚼食に直接関与する分子を同定し、その詳細な働き方を理解することにより、今後赤痢アメーバの起こす病気の理解が進むと同時に、新しい治療法や予防法を作り出すことが出来る可能性が示された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
Jeelani Ghulam | 東京大学 | 大学院医学系研究科(医学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)