震災特有疾患に対する一酸化炭素結合型ヘモグロビン小胞体の医薬品としての有用性評価
【研究分野】医療系薬学
【研究キーワード】
ヘモグロビン / リポソーム / 急性腎傷害 / 赤血球 / クラッシュ・シンドローム / 一酸化炭素 / クラッシュシンドローム
【研究成果の概要】
本研究では、ヘモグロビンを基盤とした一酸化炭素 (CO) 供与体 (CO結合型ヘモグロビン小胞体及びCO結合型赤血球) が震災時に多発するクラッシュ・シンドロームとそれに続発する急性腎傷害に対する治療効果と作用機序を検討した。その結果、CO供与体はクラッシュ・シンドロームに対して高い治療効果 (生存期間の延長、腎傷害の抑制) を示した。また、CO供与体はヘムタンパク質 (ミオグロビンやチトクロームP450) を介した腎臓の酸化傷害を抑制することで、急性腎傷害に対して保護効果を発揮したと考えられた。以上より、CO供与体はクラッシュ・シンドロームの治療薬として高いポテンシャルを有すると考えられた。
【研究の社会的意義】
大規模災害時には、家屋の倒壊に伴う身体の長時間圧迫により致死率の高いクラッシュ・シンドローム罹患者が多発する。現在、透析や大量の輸液が本疾患の治療法として推奨されているが、医療機関の倒壊などにより極限状態にある医療現場において、これらの治療を施行することは現実的に困難を極めている。COがクラッシュ・シンドロームの創薬シーズとして高いポテンシャルを有することを学術的に明らかにした本研究は、災害医療において火急の課題であるクラッシュ・シンドローム治療薬の創薬を加速させることが期待でき、社会的意義は非常に高い。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2017-04-01 - 2020-03-31
【配分額】4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)